最初のRPGを作った男ゲイリー・ガイギャックス

1974年以前には、この世の中にRPGというジャンルのゲームが存在しなかったと聞いたら多くの人は驚くんじゃないだろうか

今ではコンピュータRPGのイメージが強いけど、元々RPGというジャンルは、

  • ロール(役割)
  • プレイング(演じる)
  • ゲーム

の名前の通り、本来の自分ではない誰かになりきって物語を進める「遊び」のこと

トールキンの指輪物語に代表されるような「ファンタジー世界での冒険」は存在はしていたんだけど、小説を読むという形式でした触れることはできず、自らがドキドキする冒険の世界を楽しむ方法は意外にも存在しなかった。img_3107

世界初のRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」は、ゲイリーガイギャックスの手によって1974年1月に発売された。

ゲイリーは、ゲームデザイナーとして超有名人だったおかげでインタビューの記録はたくさん残っていて、それらを丁寧に調査してまとめ上げてある。

世の中に存在しなかったものが、どのようにして生み出されたのか

  • 数々のゲームを遊び小説を読み込んだ幼少期
  • のちに共同経営者になる友との出会い
  • 出版社に断られ、自分で会社を作ってゲームを発売する経緯
  • ダンジョンズ&ドラゴンズの最初のテストプレイは、ゲイリーの子供たちも参加していたこと
  • 「ダンジョン&ドラゴンズ」という伝説的な名前は、当時2歳のゲイリーの娘が決めた
  • Appleのジョブズと同じように自分で作った会社を追い出されたこと
  • ゲームを遊びすぎて家庭をおろそかにして離婚した

などなど

ある雑誌の「史上最強のナード50人」の1位に選ばれたことがあるだけに、ゲイリーガイギャックスという男の人生は、普通の人生とはかけ離れており波乱万丈

ゲイリーの人生の中では数多くのゲームの名前や会社も登場し、あのゲームズワークショップも出てくる。

ホワイトドワーフ(ゲームズワークショップが発行している雑誌)が、なぜいまだに発行され続けているのかについて、当時のミニチュアゲーム会社の文化が今も生きているんだなと、別の発見もあった。

スティーブジョブズの伝記とかを読んでよかった人にはお勧めできる。

TED TALKS

TEDといえば世界一有名なプレゼンテーションの場。

そのプレゼンスキルの解説本は数多く出版されているけど、本書はTED運営陣が書いた公式本。

「人にものを伝える」ことへの強いこだわりがTED本質なのだとしたら、この本が面白くないはずがない。

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この本は、ただの「プレゼンのテクニック本」ではなく「他人に何かを伝えるために大切なこと」を多く語っている。

本書の中で繰り返し語られるのは、形だけのプレゼンテクニックなんてどうでもよくて、あなたらしく人に考えを伝えられる一番いい方法を見つける努力をするべきだということ。

プレゼン内容を暗記するのがいいのか?

手元の原稿を読むスタイルではダメなのか?

についても最終的には、「あなたが人に伝えるために一番適した方法を選択してよい」としている。

これは楽な方法を選べということではない。

あなたにとって努力して暗記したほうが相手に伝わりやすいプレゼンができるのであれば、何か月も努力して、何度も練習して暗記するべきであるとしている。

 

とにかく全体を通して、「伝えるための努力」に一部の妥協もしないTEDの理念が感じられる。

TEDのプレゼンスタイルをマネすることが目的であってはならない。

誰かに伝えるために最大限の注意と努力を払った結果の集大成が、なんらかのプレゼンテーションテクニックとして切り抜かれてるに過ぎないと感じる。

 

1つ1つは、テクニックとして利用しても使える。

でも、それだけじゃ勿体ないと感じさせてくれる。

心の底から「伝えたい何か」が無ければ、全てのテクニックは無駄に終わる。

聴く人は、「来る途中で何を話そうか考えた」程度のことにはすぐ気が付く。

伝えるほどの価値がないものに聴く人は時間を割かない。

 

「伝えたいこと」があれば、本書は凄く役に立つ。

TEDが大切だと考える「伝えるための努力」が詰まっている。

そのまま使ってもいいし、自分に合わせてアレンジしてもいい(そのほうが伝えることにつながるなら)

 

余談だけど、本書の中で多数のTEDトークが例で出てくる。

トークの冒頭部分だけだったり、どのようなストーリー構成だったかでプレゼンの内容に触れたりするんだけど、自分が見たことのないプレゼンだと、そっちに興味を持っていかれて本の内容が頭に入らなかったので困った。

例えば

なぜ私たちは笑うのか

このプレゼンを聴いた後、もう我々はそれまでと同じように笑うという現象を考えられなくなった。全く違う見方を聴いている人に与えることが出来る。

みたいなことがさらっと書かれると、そもそもプレゼンの内容が気になって仕方がない。

巻末には、本書の中で紹介されたTEDトークが一覧になっていて、webから探せるようになっているので、ご安心を。