日本のアニメ映画ではジブリ以外で初の興行収入100億突破とニュースになっているけど、正直信じられない気もする。
以前書いた本の紹介 君の名は。の時は、作品は評価されると思っていたけどジブリ級になるとは思ってなかったよ。
そうそう。観た人は多いだろうからネタバレとか気にしないで書くけど、まだ観てない人はそっ閉じ推奨
4つのエピソードが収録された公式のサイドストーリー
- 立花瀧(三葉の体)
- テッシー
- 四葉
- 三葉の父
この4人の視点で映画では語られなかった物語が収録されてる。
最初のエピソードは瀧が三葉の体に入っているときの話
映画では三葉視点で進むシーンが多かったため、瀧が糸守町でどのように活躍していたかの詳細がないが、それらの部分を補完している。
例えば、体育の授業のバスケットボールで活躍している三葉(中身は瀧)が1カットだけ出てくるけど、はたして瀧はどうやって体操服に着替えたのか?
女子更衣室で着替えるわけにもいかず、瀧はなんとかしようとする
体格の違う三葉の体に慣れるためにマイケル・ジャクソンのダンスを披露したことで注目を集めてしまい、おそらく映画で三葉が女子に告白される原因になったりと、糸守町で静かに暮らしてきた三葉の人生をまあまあかき回していた。
映画では三葉が奥寺先輩との仲を縮めていたが、お互い様
2つ目はテッシーこと勅使河原の視点での話
土建屋社長の息子として糸守町に将来も縛られることを予感していて、ある意味では三葉と同じような境遇であるテッシー
町を出たがる三葉とは対照的に、テッシーは糸守から逃れられないのならば、糸守を少しでも良くしようとの思いを持っていたことが語られている。
「こんな町いやだ!コンビニも21時で閉まるくせにスナックは2件もある」と愚痴る三葉たちに、テッシーがどんな思いで「カフェにでも行かんか?」と誘ったことか
少しでも良くするための一環として、廃材を使ってテーブルとイスを作ってオープンテラスなカフェを作ろうとしたりとテッシーなりに頑張っていた
そして、テッシーは入れ替わりには気が付いていなかったが、瀧人格の三葉に「こいつは話が分かるやつだ」と信頼を感じていたようで、これがラストの瀧が考えた無茶な作戦にテッシーが協力してくれたことに繋がっていた。
これもムスビ
3つ目は、妹の四葉のエピソード
まさかの四葉の入れ替わりの話。
口噛み酒は、三葉と四葉とそれぞれ作っていた。
三葉の口噛み酒は瀧が飲むことになるが、四葉の口噛み酒については映画では特に触れられることもなく進んでしまったけど、実は、、、という展開。
「宮水の巫女が孤独であったことはない」という言葉のように、四葉もまたムスビの一部だったわけ
最後は、三葉の父のエピソード
三葉の母である二葉の出会いから、ラストの彗星落下の直前に説得に来る三葉との対峙までの話
もともと民俗学者だった父が、二葉と出会い結婚することで宮水神社の神職になる。父は婿養子。
映画ではほとんど出てこなかった二葉だが、この本では存在感がすごい。
父は二葉が死んだのは糸守の町のせいだとの思いに至り、二葉を殺した古い習慣を新しい政治の論理で置き換えるために市長になる決意をする。
映画の中で、三葉の入れ替わりに気が付き「宮水の血」を嫌っていた男が、ラストの決断をどのようにして行ったのか?
決して三葉1人の力だけではなく、二葉の存在があったからこそと思わせてくれる。
そして、三葉の父と仲が決して良くはないはずの祖母が、なぜラストのあのシーンで市役所にいたのかについても説明がされている。
いやぁ、宮水マジパネェ
4つのエピソードはどれも映画を綺麗に補完していて魅力的
特に好きなのは父の話だなぁ
きっと父はあの後に生前の二葉と入れ替わるような気もする。