新海誠監督の映画「君の名は。」の原作小説
都会に住む少年と、田舎に住む少女が数日おきに入れ替わる体験をするという物語
映画の公開に合わせてTVCMが作られてるので動画みると雰囲気はつかめるはず。
新海誠の過去の作品はどれも、「男女の距離」をメインテーマにしている。
今回はこういう「男女の入れ替わらるが故の直接は会えない」感じかなと思わせておいて、中盤から全然違った。
ただの入れ替わり作品ではなく、中盤から記憶と運命に立ち向かう物語になっていて、予想を裏切られると共に、いい感じのSF(少し不思議)に仕上がっている。
シュタインズ・ゲートが好きな人には、刺さるんじゃないだろうか。
序盤に平穏なパートでキャラクターに生活感を持たせることで現実感を与えたところに、中盤から物語が加速して運命に立ち向かう構図になっているところはそっくりだ。
主人公のうちの男、立花瀧(たちばなたき)は、わりと前向きで行動派。
肝心な時に前に踏み出せず流されるだけだった新海誠の過去の作品の男どもとは違う。
過去の新海誠作品のような、もどかしい切ない世界が好きな人にとっては「コレジャナイ」と感じる人もいるかもしれないけど、キャラクターが行動的であることで物語が主体的に進むわけで、多くの人に見てもらう作品とするからには、やっぱりこっちのほうが好まれるような気がする。
映画はまだ公開されていないけど、きっと高く評価されるのだろう。
アニメーションでは第三者視点で物語を観れるだろうけど、小説版は一人称視点であることで主人公の男女が見ていないものは存在しない代わりに、内面から物語に触れられる。
アニメーションを観て作品を気に入ったら小説版も読んでみることをお勧めする。